取組み・活動

デザインのちから!

2006年発売のWiiを通して「デザイン」を考える

 「デザインとは何か?」という質問について、私は、弁理士という職種上「物品(製品)の美的外観」というように、意匠権で保護できる対象に着目した答えを述べることも多いです。

 しかし本来的に、デザインとは、解決すべき問題をみつけ、その課題に対する解決方法又はその方法の設計図を描き、その設計図を具体化して、人々の生活や社会に浸透させる一連の流れを包含する言葉だと思います。その趣旨で、デザインは「問題そのものを発見すること」から始まっていて、この「デザインのちから!」ブログでも、なるべく解決すべき問題自体にも着目しようと思っています。

 デザインをより広義に捉えようと私が思うもう一つ理由として、「意匠権を取得しても使えない」という巷の声があるからです。確かに、多少一部の形状を変えれば非類似となり、意匠権侵害を回避できるというのが実情です。
 しかし、それは意匠権制度だけの問題でもないと思います。既存製品分野では、機能を追加したり一部カタチを変えたりして新たな製品を出し続け、従来モデルを陳腐化させて価格の下落を抑えるという方法で販売されているものもあるように思います。短ライフサイクルで陳腐化するカタチや、そのカタチでなくても他のカタチでもよいという製品に、意匠権を取得しても意味がありません。

 意匠権を取得して最も※意味があると考えられる場合は、解決すべき問題が明らかにされ、課題解決策が考え抜かれ、それが特定のカタチに集約された場合です。そのカタチでないと、その製品コンセプトを表せないという場合です。(※他に意味がある場合があります。それについては今後少し触れたいと思います。)

 私が、カタチのインパクトを感じた製品の一つとして、2006年に発売されたWiiの据え置き型ゲーム機があります。今や古典的な製品となっているのかもしれませんが、ゲームの遊び方を変えたものとしては記憶に新しいと思います。
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上図は意匠公報(意匠登録第1257931号/意匠に係る物品「電子ゲーム機」。)より引用。
斜視図1及び2は省略。ご興味がある方は特許電子図書館で原本にあたってください。

 後から考えれば、単純な形状です。しかし、製造過程でのコストを抑えつつユニークなカタチを実現しており、後述するように発見した問題に対し、出した解決策をみごとにカタチにしたものと言えると思います。
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 Wii製品(本体)のカタチが生まれる背景として検討されたことを、任天堂HPを参考に、私自身でまとめてみました。また、以下は、2008年から2011年にかけて、神奈川大学でゲスト講師(担当教官:三品岩男先生)をさせて戴いたときに使ったものをベースにしています。

image003.png 左記基本図:(c) Iwao Mishina
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 Wiiの開発当時は、携帯電話の画面でゲームをする人達が増え出した時代でした。一方で、ゲーム機の機能は格段に進化し、難しすぎてついていけない人達も出てきていたようです。そして家庭の中ではお母さんに嫌われる存在にもなっていたようです。そんな問題から脱してあるべき姿に到達できるためにはどうしたらいいのか、と考えだされたのがこのカタチだったようです。
 ゲームソフトの豊富さ等、種々の成功要因があるかと思いますが、各要因の出発点であるコンセプトが最終的にこのカタチとして実現したのでしょう。結果として、ゲームのターゲット層を、これまでゲームをやらなかった子供や大人までいっきに広げました。

 以上は任天堂さんからきちんとしたヒアリングもせず、私が勝手にまとめたものです。具体的には、同社のHP等を参考に、同社がどのようにこの製品及びそのデザインを生み出したのか考えてみてください。

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