取組み・活動

デザインのちから!

今治タオルを通して「デザイン」を考える

「デザインとは何か?」という質問について、私は、質問をした相手や状況等によって、答えを変えています。

弊所は、意匠登録出願を特許庁に行い、審査経過を見守り、意匠登録を経て、意匠権を発生させることを主な業務の一つとしています。

従って、仕事上「デザインとは何か?」と聞かれれば、「物品(物品の部分を含む。...省略...)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合です」と答えます。でもこれは正確ではなく、「意匠登録を受けられるデザインとは何か?」について答えているにすぎません。

 

本来的に、デザインとは、解決すべき問題をみつけ、その課題に対する解決方法又はその方法の設計図を描き、その設計図を具体化して、さらに、人々の生活や社会に浸透させる一連の流れを包含する言葉だと思います。しかし、このような答えは、質問した相手に対し、漠然としていて不親切な場合も多いのだろうと思います。

 

そこで、少しずつでも、デザインとは何かを個別具体的に考えていこうと思っているのですが難しい。それでも真っ先に思いつくのは「今治タオル」の事例、しかも、「今治生まれの白いタオル」(http://www.imabari-towel.jp/product/5)のデザインです。

 

私がデザイナーで、「タオルのデザインをしてください」と言われたら、きっと、タオルに描く「模様」を必死で考えると思うのです。しかし、このタオルは、何も施さないことで、その背後にある技術力や品質のよさを最大限にアピールできたのではないかと思います。実際、私も家庭で使って、ツヤがあるのに油が水をはじくような感覚はなく、吸水性は抜群で、肌に心地よくて大のお気に入りです。(photo:yosizawa/我が家のタオル(今治ブランドを示す商標含む。))

imabari photo 20131212.JPG 

 しかも、白いシンプルなタオルが、タオルの本質的な価値を解りやすく訴求してくれるため、タオル製造業者さんは、BtoB事業においても、各ブランドにマッチした模様を施したい各メーカーさんとの取引を加速できるのではないかと推測します。実際、デザイナーの「模様を描きたい心(?)」を刺激するのでしょうか、街には、最近、今治タオルを示す商標が付されたカラフルでバリエーションのある模様が施されたタオルを見かけます。

 

さらに、タオル以外の生活雑貨とも相性がよく、タオル専門以外の小売業者さんの取扱量も増えているのではないか?と推測します。

こんな感じに↓(photo:yoshizawa)

今治販売例.jpg

いろいろな広がりを含めて考えることが「デザインする」であり、その効果を含めた結果物が「デザイン」なんだと思います。

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