商標は、いわば単なる文字列、記号又は図形等にすぎません。かかる文字列等をブランドとして育てるためには、一定の努力が必要です。
商標を活かすためになすべき3つ目の基本は、『「約束」に見合う「実体」をつくる』ということです。
基本1つ目では、「約束」を定めることが重要と述べましたが、約束に見合う実体がなければ、顧客の信用は得られません。「約束」は、「ターゲット顧客」「提供価値」「優位的特徴」の3つの視点で定めると効果的である旨述べましたが、かかる優位的特徴をもった提供価値を、ターゲット顧客に届け続けるには、強固な「価値提供システム」を構築する必要があります。
例えば、ヤマト運輸が宅配サービスを始めた当時は、宅配事業は郵便小包の実質的な独占状態にあり、個人荷物の配達期間は通常4,5日、梱包作業も素人には難しかったそうです。
そこで、ヤマト運輸は商業貨物事業から撤退し個人顧客にターゲットを絞り、その顧客(特に家庭の主婦を想定。)に、どうやったら価値を感じてもらえるかを考えたそうです。そして、翌日配達をキャッチコピーに、個人でも小荷物を、気軽に手ごろな値段で早く自分の届けたい人へ届けられるようにして、既存宅配サービスを「宅急便」の商標のもとで再生させたのです。
その価値を届けるために、出荷・輸送・配達のトータルシステム等を構築していったのです。
(ヤマト運輸の話・図は、小倉昌男著「経営学」(日経BP社)を参考に独自にまとめました。)
以上のように「価値提供システム」を構築し、「約束」に見合う「実体」をつくることで、顧客の期待に応えることができます。そればかりでなく、かかるシステムの存在が、顧客の記憶の中で商標とリンクし、顧客の「信用」を高めます。