平成26年特許法等の一部を改正する法律が同年5月14日公布されました。
しかし施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、本日(同年9月30日)の段階で施行されていない規定は多いです。
そこで、今回は、本日の段階で施行されている「地域団体商標制度」の登録主体の拡充についてご紹介します。
地域団体商標制度とは、商標の登録要件を一部緩和し、「地域名+商品(役務)名」等からなる商標の登録を可能とするものです。
本来、例えば「地域名+商品(役務)名」等からなる商標を出願する場合(例えば、商品「りんご」について商標「青森リンゴ」を出願する場合)、その商標は自他商品識別力がなく、登録されません(商標法3条1項3号)。
但し、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」こと、いわゆる周知性を立証できれば登録されます(同条2項)。
しかし、この周知性は、日本全国に知られているようなレベルが要求されます。適用を受けられるハードルが極めて高いといえます。いわば、このハードルを低くしたのが地域団体商標制度です。
すなわち、地域団体商標制度は、地域産業の活性化や地域おこしの活動において、その営業努力により得た信用が地域団体商標(地域名+商品(役務)名等)に蓄積するよう支援し、かつ、これを保護するという政策的意図で導入された制度といえます。ですから、そのような政策的意図に適う登録主体である必要があり、極めて限定的に規定されていました。
これまで認められていた登録主体は、以下のようなものでした。
・中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合
・その他の特別の法律により設立された組合
(農業協同組合法により設立された農業協同組合、
水産業協同組合法により設立された漁業協同組合等)
・これらに相当する外国の法人
今回改正での登録主体の拡充は、上記に挙げた事業協同組合等以外の団体でも、地域産業の活性化や地域おこしの活動の責任主体となり、地域団体商標の価値を高めているものがある、という実情を反映したものと言えるでしょう。
具体的には、商工会、商工会議所、特定非営利活動法人(NPO法人)と、これらに相当する外国の法人も登録主体として認められることとなりました。
下記参考①のテキストでは、「普及が進む地域ブランドとその担い手の例」として、以下のものが挙げられています。
〔商工会〕 東京都福生市の「福生ドッグ」
(福生市商工会)
〔商工会議所〕群馬県伊勢崎市の「いせさきもんじゃ」
(伊勢崎商工会議所)
〔NPO法人〕 香川県小豆島の「小豆島オリーブオイル」
(NPO法人小豆島オリーブ協会)
(平成26年特許法等の一部を改正する法律について」(特許庁)