取組み・活動

※こちらはブログ記事の個別ページです。

取扱業務関連情報

カナダ商標制度の概要

1.調査

 出願前に登録可能性(他人の先行商標と抵触しないか?普通名称等として独占性がないか?等)を判断するために調査を行うのが得策です。但し、すでに使用されている場合は、費用低減の観点から、調査をせず出願をするというのも一案です。


2.出願

(1)手続で必要な点

 出願人のお名前・ご住所の英文表記が必要です。代理人の委任状提出は求められていません。


(2)1商標区分制度なし

 我国含め多くの国が国際分類を導入し、商品・サービスを45に分類していますが、カナダでは区分(分類)の概念がありません。料金は区分により変動しません。


(3)指定商品/役務・商標の記載

 カナダで使用予定のある商品又は役務を記載します。日本(本国)に同じ商標について登録・出願がある場合は、これに合わせると後述(4)のように便利です。


(4)出願の根拠

 カナダ出願の場合、以下の1又は複数の根拠に基づいて出願する旨明示し、かつ登録時において一定の手続きを行う必要があります。


①カナダにおける商標の使用に基づく出願(Use of the trade-mark in Canada)

 出願しようとする商標が既にカナダにおいて使用されている場合に基づく出願です。 この根拠に基づく出願の場合には、各指定商品・役務について最初に使用された日付を明確にする必要があります。例えば、指定商品が2つあり、カナダで使用されている場合には、それぞれの最先の使用日を明確に願書中に記載する必要があります。


②外国(本国以外の国含む。)で使用され、出願人の本国における出願や登録に基づく出願(Use & Application/Registration Abroad) 

 この根拠に基づく出願は、カナダ出願と同じ商標を本国で出願し、かつ、出願人がどこかの国で使用している場合に基づく出願をいいます。自国での出願又は登録の詳細(番号や日付)が必要となります。(日本に同じ商標について登録・出願があることが前提です) 


③カナダにおける商標の使用予定又は使用意思に基づく出願 (Proposed Use in Canada)

 カナダでは実際に商標が使用されていないが、将来において使用をする意思を有することに基づく出願をいいます。(この根拠では、実際にカナダで使用していないことが重要です。)


④カナダにおいて周知となった商標に基づく出願(Well-Known Trade Mark in Canada)。

 カナダ以外の国で商品等について商標が使用され、それがカナダにおいて周知となった場合に基づく出願。 なお、この場合は、周知性の立証は難しく、現地代理人は余りすすめないようです。①乃至③が現実的である場合が多いようです。


 出願時に以上の根拠を1又は複数記載し、その後いずれかを削除することができます。例えば、①と②を記載し、結局使用開始がなかったので①の根拠を削除する等です。


3.審査

 他人の商標と抵触しないか等の登録要件について実体審査がされます。

 登録要件を満たさない場合には、出願人に反論の機会を与える拒絶理由通知が発せられます。反論しても理由が解消されなかった場合、最終的に拒絶査定となります。当該査定に対して査定発送日から2ヶ月以内に連邦裁判所に対して上訴することができます。


4.登録

 登録要件を満たしていると判断された場合、出願が容認され出願の内容は異議申立のために出願公告(出願公告日から2ヶ月間)されます。異議申立てがない(又は異議申立てが認められない)場合、出願は許可され、許可通知書発行日から6ヶ月以内に最終手数料を納付します。


5.使用宣言書等の提出

 なお、上述の③使用意思を根拠に出願した場合には、使用宣言書の提出が必要となり、提出後に出願は登録され、出願人に登録証が発行されます。この使用宣言書の提出は、正当な理由があることを条件に、6ヶ月ごと延長することが可能です。

 本国登録等を根拠に出願した場合は、本国登録証明書(日本の登録・出願)の提出が必要です。


5.存続期間

 商標権の存続期間は、登録日から15年間です。

 商標の登録は、15年ごとに何度でも更新することができます。


6.その他

 重複しますが上述のように、カナダへの商標出願の際には、米国への出願の場合と同様に、出願の根拠(基礎)を明示する必要がある点ご留意下さい。

 例えば、カナダにおける使用意思(使用していないが、使用の意思がある旨を宣言)を根拠(基礎)に出願する場合は、商標が実際にカナダで使用されていないか否かを確認する必要があります。一度使用意思を根拠(基礎)として出願すると、後で、使用していたことを見つけた場合でも、使用に基づく根拠(基礎)へ変更できません。

 また、使用宣言書(使用していないが、使用の意思がある旨を宣言)で、使用した日付が出願日前の日付であった場合には、異議申立を受ける恐れがあります。



<免責事項>以上は、弊所のこれまでの経験、及び、2014年10月3日現在確認している事項です。具体的にカナダへの出願をお考えの場合は最新の情報に接してください。上記情報をもとに手続きを行い損害が発生した場合でも、弊所は責任を負いません。ご了承ください。

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